現在、当事務所では愛知県司法書士会の要請を受けて、配属研修生を受け入れています。
全部で6週間、司法書士試験合格者でかつ、司法書士登録未了の新人である配属研修生を預かるのですが、先日半分の3週間が終了しました。
当事務所での登記や裁判、相続や財産管理などの通常業務を通じて、少なくとも各業務の現場の雰囲気を掴んでもらおうと思っています。
そんな中で、配属研修生のT君に様々な形式で課題を出しています。
今日の出題の一つは、委任契約における辞任と委任終了の違いについて。
実務上、極めて大きな違いがある(と、当事務所では考えています)この2つですが、T君にその違いを説明できるか聞いてみました。
辞任できない
辞任も委任終了も効果は同じですが、「辞任できなくて困る」という事態があります。
受任者の辞任というのは、理由を問わず行うことができるのですが、辞任できない状況は結構あります。
それは、委任者(依頼人)と連絡が取れなくなってしまう場合です。
委任者に電話しても、手紙を送っても返答がないような場合には、受任者から辞任しようとしても、辞任の意思表示を委任者に到達させることができません。
意思表示については民法第97条に定める通り、到達主義が取られています。
従って、辞任の意思表示を委任者に到達させられない場合は、辞任の効果が発生しないということになります。
委任契約の終了
一方、委任契約の終了は、一定の事由が発生した場合には、委任契約が終了するという効果があります。
例えば、委任者が死亡した場合には委任契約は終了します。意思表示が到達したかどうかという問題が発生しません。
もっとも、委任者と連絡が取れないような場合は、委任者が死亡したかどうかも判明しないことがほとんどではありますが…