成年後見人等の報酬について

申立の依頼者や、被後見人の親族の方からよく聞かれる質問です。

成年後見人・保佐人・補助人(以下、「成年後見人等」とします)の報酬は、成年後見人等の家庭裁判所に対する申立てによって、家庭裁判所が相当な額を決定、報酬付与の審判を出します。

当事務所では、成年後見人等に就任してから毎年1年ごとに、家裁への事務報告時と同時に報酬付与の審判を申立てしています。

成年後見監督人・保佐監督人・補助監督人についても同様です。

就任時に親族の方から、「お支払いはどうしたらいいですか?」と聞かれることがよくありますが、1年後に報酬付与の審判を行った際にご請求致します、という風に伝えています。

なお、実費については随時請求しています。

報酬付与の審判と根拠条文(民法862条)

報酬付与の審判については、民法上にその根拠があります。

(後見人の報酬)
民法第八百六十二条  家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。
この条文は、保佐人・補助人と、その監督人にも準用されています。

異議を言う機会なし!

この「相当な報酬」、必ずしも基準は明らかではありません。裁判官が相当と考えた額を相当な額として決定します。

裁判所の手続きにして、異議を言う機会がありません。また、主文のみで理由は記載されません。

この点なかなか親族の方に理解して頂けないことがあります。

この決定に異議が出せないのは、異議を出すのが報酬付与の審判を申し立てた後見人だからであろうと思われます。

後見人の親族の方はそもそも異議を申し立てる立場にない、という前提です。

報酬については原則、当事者同士で決めるべきというのが前提となりますが、成年被後見人はそういった判断をすることができません。そのために成年後見人がいるわけですが、成年後見人が成年被後見人に代わって自らの報酬を決める、というのはお手盛りになるからダメという判断があるわけです。そうすると、中立的な立場で裁判所が判断するのが相当ということになります。

 

とは言え、今まで成年被後見人のお世話をされていた親族の方が、後見人報酬を気にするのは当然のことでもあります。