国民生活センターの相談事例によると、注文もしていない健康食品を送りつけて、電話などで代金を支払うよう迫るということが最近増えているようです。オレオレ詐欺のようなものでしょう。かつても押し貸しという、ヤミ金業者が口座にお金を勝手に振り込んで、高額の利息を乗せて支払いを請求するという手口がありましたが、手を変え品を変えこういった詐欺は行われるようです。

当然、注文をしていないならば、代金を支払う必要はありません。健康食品の代金を請求するには、その売買契約が必要です。健康食品が送りつけられてその相手から電話がかかってきた、というだけでは売買契約は成立しません。ここまでは特に法律家でなくても感覚的にわかる結論だろうと思います。

しかし、実際に商品が手元に届いている、というのがポイントです。契約はしてないけれど、届いてしまった物は返品しなきゃいけないのでは、というように思うのではないかと思います。業者からかかってきた電話で、被害者の方は返品を申し出るでしょう。しかし相手はこういってくるわけです。「商品の代金を払え!」「注文したんだから返品は受け付けないぞ!」と。当然返品先となる住所は教えません。

このへんから被害者の方は正常な判断力を失ってしまうのだろうと思います。業者の言い分が正しいかもしれない、と不安になってしまうのです。私にとっては欲しくもない健康食品だけど、相手はそれを販売する業者だ。私のところに一旦納品してしまったら商品価値を失ってしまうのではないだろうか。送料もかかっているし、その分も弁償はしなければならないのではないだろうか。私の電話番号を知っているということは、ひょっとしたら私は業者が言うように契約したのではないだろうか。あるいは妻が契約したのかもしれない。もし支払わなかったらどうなってしまうのだろうか・・・

そんな不安のなかで、健康食品の代金として提示される金額は数万円程度です。これを支払えばこの問題から、今感じている不安から開放されると思ってしまうのは無理はありません。被害者の方は、業者にすっかり騙されて支払っているというより、騙されているかもしれないと自覚しながらも、支払える範囲のお金だから不安から逃れるために支払ってしまおう、というのが実情なんだろうと思います。人の不安感につけ込む許し難い犯罪行為です。詐欺ないし恐喝にあたる行為です。

決して支払わないようにして下さい。一度支払ってしまうと、どうやらそういったリストを作っているらしく、また似たような手口の標的になる傾向があります。あなたがそういった被害を受けた場合、まずはご家族にご相談下さい。警察や法律家団体にご相談下さい。とにかく一人で抱え込むのが最も危険です。

申し込んでいないのに強引に送りつけられる!高齢者を狙った健康食品の悪質な販売手口が増加!