登録制で所在が明らか
財産管理を扱うという観点で、一般の個人や法人等の団体と、司法書士との大きな違いは、公的機関に登録を行っているか否かです。
この登録は、法律で設置を定められた日本司法書士会連合会に、氏名、生年月日、本籍、住所、男女の別、事務所の所在地及び所属する司法書士会などを証明書とともに申請する必要があります。また、何か変更があれば遅滞なく届け出る義務もあります。
この申請には顔写真の提出も必要です(ちなみに私は当サイトの写真と同じものを使っています)。
登録機関には顔まで明らかになっているので、司法書士を探し出そうと思えば、そう難しいことではありません。悪いことはできないということです。
一方、一般の個人や法人等の団体では、そういった登録がありません。司法書士でない遺言執行者が遺産を分配せずに行方をくらませた、ということもしばしば相談として聞きます。
国と司法書士会からの監督
また、司法書士は法令で、国(法務省)と司法書士会の双方から監督を受けています。この点でも個人が財産管理を行う場合とは異なります。
一般の株式会社や法人が行う場合も、こういった外部からの監督を受けることがありません。
例えば私が所属する愛知県司法書士会は、倫理、注意勧告、品位・綱紀、紛議調停、依頼者の預り金、本人確認、業務広告など、司法書士が行うあらゆる業務に関する規則を制定し、綱紀調停委員会を通じて常務を会員の司法書士を監督しています。
また司法書士は、法務省から監督を受けており、違反行為があれば各地の法務局を通じて懲戒処分を受けます。甚だしい違反行為であれば、業務を禁止されることもあるのです。
また、成年後見人等の財産管理業務では、家庭裁判所の監督を受けます。
このように、司法書士はその業務を外部から監督されており、しかも監督する機関は同業者団体だけではありません。常に複数の機関から監督を受けるため、いわゆる「お手盛り」になることはありません。
万が一の場合に備えた保険があります
また、財産管理を司法書士に依頼することのメリットの一つとして、万が一の場合に司法書士賠償責任保険を利用できることが挙げられます。
財産管理そのものは、例えば家族が行うことができ、実際に行われることも多くあります。しかし万が一、財産をだまし取られるなどの非常事態が起こった場合に、その財産全体を対象にした保険はありません。
一方、司法書士は業務として財産管理を行うことができます。
司法書士賠償責任保険はこの財産管理業務についても保険が及ぶものとしています。
保険金額は契約によって定めますが、当事務所では保険金額の上限である、司法書士1名あたり6億円の保険に加入しています。
当事務所には3名の司法書士が所属していますので、総額で18億円まで保険金が下りるということになります。もちろん保険事故を起こしたことはありませんが…