相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)が亡くなってから原則3ヶ月以内に相続放棄する旨を家庭裁判所に申述する方法で行い、相続財産に関する権利や義務の一切を承継しないようにすることができる制度です。一般的には、承継する財産より借金などの負債の方が多い場合に選択します。相続放棄をして借金を相続しないようにしたが、生命保険金だけ受け取ってもいいのかどうか、また生命保険金を受け取って使ってしまったら相続放棄ができなくなってしまうのではないか、という質問がよくあります。
結論から言えば、相続放棄しても生命保険金を受け取れる場合があります。これは、保険金の受取人を誰に指定しているかが重要です。
受取人を相続人に指定している場合、相続放棄をしても、指定された相続人は生命保険金を受け取ることができます。生命保険金は、相続によって受け取ったわけではなく、保険契約によって受け取っているためで、相続を放棄しても保険契約に影響はありません。保険契約によって保険金を受け取った人の固有財産であって相続財産ではないので、相続放棄の影響を受けないということになります。
生命保険金を受け取って使ってしまうと、相続を単純承認(民法920条、921条)したことになり、相続放棄ができなくなってしまうのではないか、という疑問も同様に生命保険金は受け取った人の固有財産なので、それを使ったとしても相続に影響しません。
しかし、受取人が被相続人としていされている場合はアウトです。生命保険金は相続財産になってしまうので、相続放棄すると生命保険金は受け取れなくなりますし、相続放棄する前に生命保険金を受け取ってしまえば単純承認となり、相続放棄できなくなります。
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