以前、当事務所で受けていた成年後見の案件で、ご本人が認知症から快復されて、非常に驚いたことがありました。

その方は脳溢血で倒れられて、意識を取り戻したときには判断能力を失っているという診断を受けました。その後親族の方から成年後見の審判の申立てがあり、後見開始の審判を経て、当事務所の司法書士が成年後見人になりました。

まだ50代で、被後見人としては比較的若い方でした。財産の捜索や、障害年金の手続きなどする中で、実は借金があることも明らかになり、その債務整理の手続きなど行なっていると、あっという間に1年が過ぎました。

その頃になるとご本人はリハビリで快復して、すっかり判断能力が快復しました。おかげで成年後見の審判を取り消すという、普通あまりやらない手続きを体験することができました。

認知症と診断されても、回復することがあるのは聞いていましたが、目の当たりにするとは思いませんでした。私にとっても認知症は、老衰の末の病気であり、正直申し上げて治療できない病というイメージが強くありましたが、認識を改めることができました。